日本放送作家協会九州支部では、15分のオーディオドラマ(=ラジオドラマ)のシナリオを募集する、
「南のシナリオ大賞」を開催しています。九州支部の本部は福岡県福岡市にございます。
第18回 南のシナリオ大賞
MENU
最新情報
第18回 南のシナリオ大賞 受賞作品
南のシナリオ大賞
庭を見る二人
天見 ろね
この度は大賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。
咲き誇るムクゲを見ながら考えた話です。
ほっこりしつつ、少しの不気味さも表現できれば、と思いながら書きました。
しかし、応募した後に、アレでよかったのだろうか、あそこはアレよりもああしたほうが……、と雑念がムクムクと。もう埋まっている何かを掘り起こすこともできません。
二次審査で講評を頂けたことがとても嬉しくて、アドバイスを生かして次も頑張ろう、と思っていた矢先の受賞のお知らせ、驚きと同時に喜びが湧き上がりました。
シナリオを書く楽しさを実感し始めたこの時期に賞を頂けて幸せです。
頭の中にしかなかった話が、オーディオドラマになり、誰かの耳元に届くことになるとは夢のようです。審査して下さった皆様に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
優 秀 賞
私の声が嫌い
両角 美貴子
30代半ばまでフリーランスの構成作家として、東京のラジオ局・文化放送で番組を担当していた。そんなある夜、疲れきって帰り支度をしていると、局内にラジオドラマが流れてきた。帰宅することを忘れ、最後まで聴きいってしまった私は「いつか必ずラジオドラマを書こう」と決意したのだが、その夢を果たせぬまま、月日は流れ……。
現在、字幕の映像翻訳家としてドラマと関わっているが、自ら創作の道を歩み出したのは1年前。若き日の夢を託した作品が「私の声が嫌い」である。実は私も主人公のように、中高生の頃は自分の声に劣等感を抱えていた。その体験を基に、自分の声を好きになる、つまり自分を好きになる物語を書きたいと思った。
手話を取りいれたのは、チャレンジしたかったからである。「手話を耳で聴く」ことで頭の中にイメージが広がり、ラジオドラマでも手話が描けると信じて書いた。この試みを認めてくださった審査員に、深く感謝したい。
優 秀 賞
ファスナー
岸 朋楽
この度は本作を優秀賞に選出頂き、誠にありがとうございます。
本作は彼女の背中にファスナーがついているという突飛な設定に始まる物語です。その事実を知った彼氏である主人公がファスナーを下ろしたいという欲求を抱え右往左往する様が描かれます。ファスナーは誰しもが抱える秘密や心の傷をモチーフにしており、反面そういったものをつまびらかにしたいという浅ましくも率直な人間の欲求を登場人物に仮託して描いた作品です。もちろん寓話ですが、寓話だからこそ描けるテーマ性と作品としての面白さの両立を目指して作りました。
色々と反省が残る作品ですが、結果的に本作のどこかは選考委員の方の心に届いたという実感は大変嬉しく思います。これからもこれを励みに書き続けたいと思います。
最後に作品のブラッシュアップに協力頂いた創作仲間の皆さまに厚く御礼申し上げます。
第18回 南のシナリオ大賞
受賞シナリオ公開中
シナリオ[PDF形式]
第18回 南のシナリオ大賞 大賞
第18回 南のシナリオ大賞 優秀賞
第18回 南のシナリオ大賞 優秀賞
第18回 南のシナリオ大賞 総評
18回南のシナリオ大賞は、209通の応募がありました。
1編、1編を丁寧に読ませて頂きました。皆さんのレベルが上がっていて、日々の努力が感じられます。
今回は、大賞一編、優秀賞二編としました。しかし、どれを大賞にするか審査員の票が割れ、時間を掛けた審査でようやく決まりました。皆さんの書く力が拮抗していたと思います。
さて、大賞は、「庭を見る二人」の天見ろねさん。
借家を追われそうになる老婆と不動産屋の二人。登場人物がどれもあやしいのにゆったりした時間が流れています。
優秀作には、「私の声が嫌い」の両角美貴子さん。
自分の声が嫌いな主人公が声を発せない手話へと足を踏み入れていきます。音の世界のオーデォドラマに挑んできました。
次は、「ファスナー」の岸朋楽さん。
恋人の背中にファスナーがあることに気付いた主人公が不安を抱えつつ正体を暴こうとします。ちょっとした怖さがありました。
どれもこれも魅力に溢れる作品でした。来年も「南のシナリオ大賞」は、皆様の応募をお待ちしています。また、出会える日を楽しみにしています。
日本放送作家協会九州支部長
盛多 直隆
令和6年11月17日、アクロス福岡にて
第18回南のシナリオ大賞表彰式を開催
致しました。
受賞者の皆様、おめでとうございます。
(左より優秀賞・両角 美貴子氏、大賞・天見 ろね氏、
優秀賞・岸 朋楽氏)
画像をクリックで拡大表示となります。