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第12回 南のシナリオ大賞

  • 2024年3月12日
  • 読了時間: 6分

更新日:2024年3月18日


第12回 南のシナリオ大賞 結果発表


第12回南のシナリオ大賞 結果発表
第12回南のシナリオ大賞 結果発表


南のシナリオ大賞


  • 「言霊のエール」大杉 誠志郎(長崎県)


優秀賞


  • 「僕と彼と、とある物語」土屋 祥子(東京都)

  • 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎(福岡県)


一次選考通過作品


一次選考通過作作品(朱色は二次審査通過作品)

「父の足跡を辿って」 鵜飼うるふ(大阪府)

「ブルーナ・アース」 HaRuHi(京都府)

「言霊のエール」 大杉誠志郎(長崎県)

「宣告」 日巻寿夫(福岡県)

「漂流日記」 武部縁(京都府)

「ポインセチアの贈物」 小檜山長代(神奈川県)

「空と海の間で」 緒方英樹(東京都)

「化粧破り」 美山はる(大阪府)

「正義のカステラ」 新堂陣(東京都)

「けむりの丘」 田中嘉人(東京都)

「ガラッパとやっせんぼのお嬢ちゃん」 稲佐多恵(神奈川県)

「ホモ・サピエンスの道」 向田秀明(鹿児島)

「ご縁びより」 町田奈津子(福岡県)

「午後四時五十八分の悲劇」 山下蛙太郎(福岡県)

「小さな十字架」 野々村あきよ(愛知県)

「リュウグウノアナタ」 日高真理子(福岡県)

「スリープスタンド」 小澤真紀子(千葉県)

「橋に願いを」 池崎彩子(長崎県)

「SWEET TRAIN.迷走中」 渡貫涼子(千葉県)

「ロイ2018」 恒松千穂(福岡県)

「坂道、歩いてくれますか」 森野東子(横浜市)

「水面の向う」 山崎ゆのひ(東京都)

「ロイヤル仮面」 中村真也(熊本県)

「ちゃんぽんガール」 石渡朋永(千葉県)

「ひとはな咲かす」 渡辺みわ(東京都)

「ほんの15分のこと」 今井慎太郎(大阪府)

「ピン! ポン!」 木村昌資(名古屋市)

「赤、最南の果てに」 新井啓明(東京都)

「ボケっと部」 荒木ひさみ(千葉県)

「「まほろば」 から愛を叫ぶ」 廣嶋友継(東京都)

「スイート・ホーム」 小林泉(神奈川県)

「初恋ベーカリー」 井上美穂(東京都)

「猫とクリームソーダと17の夏」 山下すばる(東京都)

「力ん限り」 嶋本桐子(福岡県)

「結婚相談ならコクコン!」 林ユキ(福岡県)

「あの鐘を鳴らせ」 和田暁知(東京都)

「誰よりも働かない女」 こたつめがね(東京都)

「12の言の葉」 梅田麻丘(神奈川県)

「石垣島サンセットホテル本日営業最終日」 田畑忍(東京都)

「三日後、午後三時」 大谷セイジ(岐阜県)

「刑事そば子」 鍛塚保春(東京都)

「僕と彼と、とある物語」 土屋祥子(東京都)



応募総数

200編(2018年8月31日締め切り)


主催

文化庁「九州・沖縄から文化力プロジェクト」参加事業

主催:日本放送作家協会九州支部

後援:日本脚本家連盟九州支部


選考会

2018年9月30日、福岡市中央区赤坂

審査委員: 盛多直隆、皆田和行、副島 直、香月 隆

実行委員: 松尾恭子


第12回最終選考ドキュメント

第12回南のシナリオ大賞 最終選考会


(5) 「言霊のエール」

(4) 「僕と彼と、とある物語」

(3) 「午後四時五十八分の悲劇」

(2) 「漂流日記」

(1) 「宣告」

(1) 「リュウグウノアナタ」

(1) 「化粧破り」

(1) 「ボケっと部」

(0) 「12の言の葉」

(0) 「ほんの十五分のこと」

(0) 「ロイ2018」


()内の数字は審査員投票数



「12の言の葉」


副島:死んだ奥さんの言葉を12個録音しておいて、それを(状況にあわせて)再生して、まだ生きているように見せかけている、という話です。


松尾:音だけでは分からないから、奥さんがいないってことが(展開のなかで)分かっていくのがすごく面白かった。オーディオドラマらしいと思いました。


香月:話は良いんだけど、ダラダラしていて緊張感がない。セリフの完成度がいまいち。このイントロ、ラジオじゃ分からないよ。


副島:ファーストシーンが老人ホームだってこと、(聞いている人には)分からんでしょう。シーンの作り方がテレビドラマなんですよ。映像があってはじめて伝わる作りのセリフです。ラジオドラマとしてのセリフじゃない。


盛多:老後の方向性ってこれでいいのかな? 死んだ奥さんの録音と会話しながら生きていくという、このへんのパターンがあんまり好きじゃない。


皆田:なんで孫娘は「嫌だ」って言い出したの?


副島:いきなり「もう死んだの」って。そういうことを(孫娘が)なぜ躊躇なく言えるのか。それに対しておじいさんが「あいつは毎日俺のところへ来てたんだ」って過去形で喋っている。過去形になるのはおかしいでしょう。


皆田:さっきまで、ここに奥さんが居るものだと思って話しかけていたのにね。


盛多:そう思い込ませていないと、この話は成立しない。


副島:12番目の言葉で「好きだった」っていう告白の部分、なんでそのときまで誰も(録音されていたことに)気づかなかったのか? ラストシーンも、主人公が分かっていて話しかけているのか、それとも本当に認知症になってしまったのか、曖昧なままで終わってる。


皆田:独創性がない、ボケネタって難しいな。



「ほんの十五分のこと」


盛多:鹿児島行き最終のバス乗り場に居合わせた、男ふたりの話。


皆田:これ、2ページ目くらいでオチが分かった。


松尾:家に電話してるときから、もう……


盛多:結(ケツ)が見えちゃってる。


副島:まあ、伏線なんでしょうけど。


盛多:伏線になってないよ、もうバレちゃってる。


副島:無ければ無いで、そんな偶然あるもんかって、なっちゃうでしょう。


盛多:最初っからバレちゃってるのは、どうも。


香月:設定の説明が最初にあるんだけど、それがドラマになっていない。


盛多:男がお姉さんの婚約者には見えないんですよ。この男が婚約者なんだってピンとこない。納得できるようなキャラに作られていない。


皆田:応援したくなるような男じゃないですもんね。


副島:関西弁だし、金持っていないし、飛行機代がないから夜行バスで行くってような男に、身内と結婚させたくないわ!


盛多:やたら関西弁が強調されてるし。


香月:それもヤクザみたいな口調で喋ってる。


副島:登場人物に魅力がないんですよ。


香月:やっぱりドラマは、登場人物に魅力がないとね。


皆田:良い話だとは思ったんだけど。この作品をオッケーにするには、どうしたらいいんでしょう。


香月:基本的にはお勉強して欲しいですね、ドラマの書き方を。



「ロイ2018」


副島:毎年、ロボットもの、アンドロイドものが(最終選考に)1本入ってきますね。


香月:ドラマの脚本は読み始めたらサッと惹き込まれなきゃいけないんだけど、これは書き出しがえらいゴチャゴチャしてる。


副島:重量が150kgって書いてあるけど、どんな形してるのか想像がつかないんですよ。機械の音がいっぱいして、でもセリフは普通の優しい口調で。


盛多:最初に奥さんの味方するわけじゃないですか、次に旦那の味方する、で、再起動したときの終わりのセリフというのは、子供に味方するってことなの? どう捉えていいか分からないんだけど。


松尾:家族のなんたらかんたら……


副島:なにをやりたかったのか分からんのよ。


香月:アンドロイドの優しさを描きたかったんだろうけど、でも十分に描ききれていない。


皆田:これ、(九州に関する言葉が)蜂楽饅頭しかなかったですね。地名が入ってなかった。(※)


※ 作品の最初に地名「折尾」が入っていると、作者よりご連絡いただきました。告知するとともに作者にお詫び致します。(2018年11月6日)



「宣告」


盛多:ベテラン工員にリストラの宣告をした男が、最後は奥さんに癌の宣告をすることになるという……これって、この終わりでいいのかな?


香月:職場ものの定番って感じで深くは買っていないんだけど、ただセリフは良かったですね。


副島:セリフ良かったかなあ? 実際にサラリーマンやったことない人が、テレビドラマから持ってきて書いたような、浮世離れしたセリフに思えたんだけど。


盛多:セリフでいちばん気になったのは、奥さんが癌を罹って、もしかしたら余命何ヶ月ってことなのに、それを「辛い宣告をする」って言う? もっと身近なところで、もっと奥さんに寄り添ったセリフが出てくるかと期待して読んでたのに。自分の奥さんに辛い宣告をするって言っちゃう。それって何なの?


副島:会社の話と家庭の話と2本立てにして、そのバランスがとれてない。奥さんとの話だけに絞ってやっていたら……まあ、あまりにも(ストーリーが)平凡すぎてて、どうでもいいです。


皆田:これ、いつの時代の話だろうって気がしました。一昔前だったら人を馘にするって話も、奥さんに癌を告げるって話も、アリだったろうけど。いまは景気が良い時代で。リストラって、いまの時代にどうなんだろう。


香月:仮にそういう時代だったとしても、ドラマの構成がちょっと定番ではありますね。大腸の影ってあるのかな?


副島:ポリープって書いてありますね。


香月:これ(大腸)は影を撮るんじゃなくて、チューブ入れて目視で診るんですよ(内視鏡検査)。医学的におかしいんじゃない?



「漂流日記」


盛多:漂流郵便局って本当にあるんですよ、四国に。


松尾:あるある、テレビで見たことある。


盛多:その実際にある漂流郵便局と、ドラマの漂流郵便局のコンセプトがまったく一緒なんです。


皆田:パクっちゃった?


副島:実際にあるやつをネタに、お話を作ったってことでしょう?


盛多:ドラマでオリジナルに漂流郵便局を作ったのならいいんだけど、実際にあるものとまったく一緒っていうのは問題あります。


松尾:あっちゃいけないんですか?


香月:ドラマではなくノンフィクションになってくる。ノンフィクションとしてならいいと思うんだけど。


盛多:実際にある漂流郵便局をそのままドラマでやるというのは、ちょっときつい。


香月:そこは話が分かれるところだと思う。このままでいいのかどうか、疑問には思ってたんだけど。


皆田:植木鉢が割れているって話が出てくるんだけど、あれ何ですか?


松尾:植木鉢は謎でしたよね、どこから出てきたんだろうって。植木鉢が割れているって、頭を殴られたんかいなって。


皆田:後にも先にもそこにしか出てこないし。


副島:横領、自殺っていう、サスペンスミステリ要素っていらなかったんじゃないのかな。年上の女性上司が年下の部下に片想いするっていう、切ない話にしたら良かったのに。濡れ衣着せられて殺されたっていうのは、どうも……


皆田:凄い話ですよね。


香月:その部分がドラマのフィクションになってるのね。


皆田:話としては良い話じゃないですか。だから早くそこに持っていきたい、その話を早く書きたい、聞かせたいって。展開を急いでる感じがしました。



「ボケっと部」


盛多:こんな会話するんですよ、高校生って。


香月:ぼくの孫たちも部活やってるけど、こんな感じで喋ってます。


盛多:なんかこんな感じなんですよ。


副島:頑張らない青春ものって流行ってるんですよね。「けいおん!」とか、ゆるーいやつが。ただ、圧力とか、流れに呑まれて苦しい経験をした挙げ句のボケっと部でしょ? その苦しさとか辛さというのが、まぁ、ベタであったらあったで嫌だけど、そういうのがまったく感じられなかった。100メートルで全中1位になるくらいだから、すごく苦しい練習があったんだろうと思うんだけど、そういうのを一切見せない。それがいまの流行りなんだろうけど。


盛多:地球儀の話がよく分からなかった。ロシアとソビエト連邦の……その地球儀の下に、昔の三者面談とかの書類があったってことですよね?


皆田:地球儀を重しにして、隠していた。


盛多:だから先生が手伝おうってことになって……


皆田:見つかっちゃったって……ただ、なんで見つかったらまずいのだろうかって。なんでって、疑問に思うところがけっこうありました。


香月:もう少しうまく書けていれば、すごく面白くなっていたと思う。セリフも確かに現代の高校生の喋ってる会話だし。ただ、テンポが出てない。


皆田:もっとセリフできちっとやりとりすれば分かりやすいのに、一人でダラダラと喋ってる。改良の余地はいっぱいあるなとは思った。


盛多:そのへんのところ改良されていれば、面白くなったと思う。


皆田:ただ、青春時代の話で面白いなってことで(票を入れました)。


盛多:次を期待したいですね。



「化粧破り」


皆田:これ、(作者は)女の人なんですかね、ノーメイクというのがけっこうポイントだったんですけど。最初っから登場人物の名前(漢字の表記)が違ってたりする。誤字もあるし、のっけから、えっ! みたいな。


香月:句読点が出鱈目なんです。


皆田:そうなんですよ、句読点を知ってるのかって言いたくなるくらいに。


香月:はじめは関東弁みたいな感じで、あとで関西弁になっているんですよ。最初に「違ぇねえ」みたいなセリフがあって、あとで「よぉ言わんわ」みたいな。


皆田:でも、構成はしっかりしているし、面白いなって思ったんです。


盛多:相手が死んでいるという話の持っていきかたでは、「12の言の葉」よりも仕上がりはいいなとは思いましたけどね。



「リュウグウノアナタ」


盛多:あと残っているのは?


副島:「リュウグウノアナタ」に1票はいってます。


盛多:これも死んだ人が出てくるんですよね。


皆田:これの回想って、音で分かるのかな?


副島:回想の入り方がヘタクソなんですよ。(ト書きに)深海の音とか書いてある。回想があって、死んだ旦那さんとの深海の幻想的なシーンがあって、それに病院のカットバックが入ってくる。ヘタと言うより、これはもう……(絶句)。


香月:リュウグウノツカイは、実際に見たことあるし、いろんな伝説があるので、ぼくはリュウグウノツカイを使うのは好きなんだけど。リュウグウノツカイって言葉が出たら(その姿が)ぱーっと目に浮かんでくる。


盛多:長ぁーいやつですね。


副島:そのリュウグウノツカイを説明するくだりも、説明セリフが長ぁーいんですよ。


香月:肉を食べると八百年生きるっていう。


盛多:それ、聞いたことある。


香月:食べたことあるけど、生きなかったですね。


盛多:生きてるじゃないですか。まだ分んないっすよ。



「午後四時五十八分の悲劇」


皆田:新作落語かと思いました。


副島:ほとんど一人芝居ですもんね。


松尾:キャラクターがすごく強烈でしたね。


皆田:誰にやられたんだ、ウイルスにやられた、って。


副島:そのオチが素晴らしい。作者にキャラクターがちゃんと出来ているからセリフに勢いが出てくる。


盛多:セリフの勢いが凄いというのは分かった。


副島:それだけですけどね。これで現代の文明批判みたいなのに持っていかないところが良いんですよ。


盛多:けっこう好きな作品でしたね。家電の故障で電話したら、だいたいこういうことなんですよ。いつまでも(対応のオペレーターが)出ない。繋がらないんです。そうそうって頷く人が多いような気がする。


皆田:ぼく7月にパソコン壊れたんですよ、本当に。それでこれはもう寿命だって言うんで、ハードディスクだけ外して新しいパソコン買ったんですけど……(審査と関係ない話なので略)……だから、気持ちはすごく分かるんですけど。


香月:みんな経験していることばかりだからね。


副島:この脚本が凄いなって思ったのは、警官が出てきた後に(主人公は)怪我しているんですが、それを一切見せていないんですよ。で、(家に)着いてから血だらけになっているのに気づく。


松尾:主人公のドン臭さが可笑しい。


副島:電話をたらい回しにされるとか、1とシャープを押してくださいっていうの連チャンでくるとうんざりするんだけど、その出し方も、ものすごく計算されてるなって。


盛多:そこ2回は無いなって思った。誰しも経験したことはあるので、2回やるのはちょっと辛いかなあって。


香月:真ん中あたりのSEに映像が出てくるシーンがあるんですが、あれは再現がちょっと難しい。


盛多:皆田さんが票を入れていない理由は? これは落語でドラマになっていないぞ、ということ?


皆田:面白いとは思うんだけど。南のシナリオ大賞がそれでいいのかな、って。


香月:皆田さんの意見に賛成するんだけど。つまり、もし仮にこれを南のシナリオ大賞で制作した場合、絶対に批判を受けると思う。


副島:そんなことないですよ、喝采じゃないですか。


皆田:面白いとは思いますよ。だから番外編で作って、こんな楽しいのもありましたよって。


香月:ぼくもその程度って感じ。出来は非常に良いんだけど、内容的に飛躍してる部分が全然ないじゃないですか、如何にもありそうなことばっかりで。1回だけだと面白いけど、2回3回聞けるかってことね。


副島:私はリピートしますよ、テンポよく作ってあれば。


香月:副島さんはずいぶん変わっていると思う。普通の人は1回聞いたら2回3回は聞きたくないんじゃない。


副島:落語と同じです。同じ話を何回聞いても、面白いものは面白い。


香月:落語家が演ると面白いかも知れないね。


副島:イッセー尾形とか、こういったタイプの一人芝居ですよ。


盛多:「あんた誰にやられたとね?」「ウイルスにやられた」って、これでオチるのかな? 読んでるぶんには可笑しかったんだけど。


香月:最後のオチは、ドラマで聞いたら全然おもしろくないと思う。


副島:いや、面白いと思います。


香月:副島さんが作りませんか、番外編として。


副島:作ってもいいけど……おれ演ろうかな、島田勘一。(人物表に)短気って書いてある。アテ書きみたいにピッタリだな。



「僕と彼と、とある物語」


盛多:候補作のなかではいちばん好きな作品。めっちゃ魅力的でした。


副島:音階の説明と、それに沿った謎解きのストーリーね。


盛多:この人間関係をラジオドラマで(作ったときに聞く人が)分かってくれるのかなって気はしまし

たが。


副島:けっこう先にいくまで、探偵と助手っていう関係が分からない。


皆田:そうなんです、登場人物に探偵と助手って書いてなければ、探偵というのは分からなかった。


副島:探偵と助手っていうキャラクターでなければならない理由はあるのかな。この設定、役名っていうのは要るのかな。


香月:それはドラマだから、面白くするためにそうしたんですよ。謎の解き方が「名探偵コナン」みたいで、ちょっと定番ではあるんだけど。


盛多:ラジオドラマ作るときに、登場人物がふたりとも男だってのは嫌だな。


松尾:助手を女性にしたらダメなんですか?


盛多:タイトルが「僕と彼と」になってる。


松尾:そうか。でも、いまは中性的な男性もいるから、ほら、りゅうちぇるみたいな。


皆田:面白いし才能あるとは思うけど。これ(九州の)地名ってありました?


盛多:長崎。


松尾:長崎の「崎」と……


盛多:九州の「州」で、州崎(スザキ)。


皆田:それでオッケーですか?


副島:アクロバティックだよね。


盛多:この話って全体がアクロバティックなんですよ、実を言うと。「シュウ」って呼ぶ人物が3人いて、その理由もちゃんと書いてあるんですが、これがきちんと落とせるかどうか。ササキアキトがなんでシュウなの? 「秋」かよって。


皆田:片仮名って頭に入りにくい、ぜんぜん分からなかったもんな。


盛多:疑問に残ったのは、この助手って誰だろうって。教室の中で見てるってセリフがいくつかあって、こいつ誰なのって。


香月:まあ、問題点はあるけど、好きな作品ではあります。作るのは非常に難しい。ピアノが上手い人を用意しなきゃいけないし。15分ドラマへの挑戦だね。


松尾:テーマがすごく面白かった。他にないでしょう、このテイスト。


香月:むかし川崎洋が楽器が喋るドラマを書いたことあって、それを思い出した。


副島:作るならラストのピアノ曲はオリジナルで綺麗に締めたいよね。



「言霊のエール」


盛多:「言霊のエール」は、もう何も言うことがない。審査員全員が票をいれている。


香月:私はこれをいちばんに推している。爽やかで、綺麗で、可愛い。破綻もあまりないです。


松尾:よく出来てましたよね。今風のテーマで、いじめ問題とか海外留学生との交流もあって。


副島:最初からペーロン大会の音を聞かせている。これが良いんです。こういうドラマなんだよ、こういう場所を舞台にしているんですって一発で分かる。


盛多:確かに。(その効果を作者は)知ってますよね。技術は高いです。副島さんは二重丸つけている。副島さんが(コンクールの投票で)二重丸つけるって(これまで)ありました?


副島:嫌悪感がなく、あざとくなくて良い。普通に感動する良作です。タイトルは「の」を外して「言霊エール」のほうがスッキリしていいと思った。


盛多:皆田さんは(評価が)三角なんだけど。


皆田:中国人けっこう喋れるじゃない。日本語が喋れなくて友だちもいないって設定になってるけど、主人公の女の子とはけっこう喋ってる。ぼくは、これと「ボケっと部」の青春もので、どっちかかなって感じだったけど。


盛多:ここまでの流れでみると、「言霊のエール」が大賞で、あとの2本が佳作ということになりますが。


松尾:いいと思います。


副島:かなりバラエティに富んでいますね、この3本。


盛多:今回、最終に残った11本は九州支部会員のみなさんに選んでもらったんですけど、多面性があって、バラエティに富んでいたように思います。


副島:老人の認知症を扱ったのが数本あって、それがどうも引っかかった。


香月:それは時代の流れですよ。ただ、みんな踏み込みが足りない。


盛多:それでは、この3本で決定ということで。作者を公表したいと思いますが……


香月:ちょっと待ってください。「午後四時五十八分の悲劇」が入ってる?



「午後四時五十八分の悲劇」 PART II


盛多:香月さんは「午後四時五十八分の悲劇」は外してもいいんじゃないかって、そういうことですか。


香月:そうです。


皆田:面白いですよ。


香月:確かに面白いけど、3回4回聞けるかっていうことです。これの面白いところは、後半の頭ぶつけたりするところから面白くなっているのね。その前までは当たり前の、普通のことばっかりなんですよ。頭ぶつけるあたりから作者の才能が出てきてる。


副島:たぶん計算だと思うんです、あそこから動きをいれたというのは。前半は室内劇で、クライマッ

クスに向けて派手なアクションが入ってくる。


香月:バッテリー切れで電話をかけられなくなるんだけど。いまは携帯用のバッテリーがあるじゃないですか、それ使ってるけどね、みんな。


松尾:(バッテリーが)もうちょっとしか残ってないところが、この主人公のドン臭さなんですよ。


香月:そういう言い訳をしなきゃいけないでしょ。この主人公はそういう半分ダメな男ですって。それをアタマにふればいいんだけど、ふってないもんね。


副島:いや、ありますよ。(冒頭の)奥さんが出ていくあたりから、こいつは絶対面白い奴だって分かる。


香月:ぼくはあまり買わないけどなあ……あとどれを入れるかというと、他に入れるものないですもんね。


盛多:そうですね。


香月:ぼくは渋々賛成です。


盛多:では、「言霊のエール」を大賞として、「僕と彼と、とある物語」を佳作1、「午後四時五十八分の悲劇」を佳作2とします。



内輪なエピローグ


副島:佳作じゃなくて入選作(*)じゃなかったっけ? 佳作という言葉を永田(事務局長:永田昭治)さんが嫌って。


香月:去年から入選(*)になったでしょ。


盛多:あとで確認しておきます。そう言っときながら……


松尾:永田さん出て来ないんだもの。


盛多:審査に参加するよう永田さんにお願いしたら、長い文章は読めないって。


松尾:最終審査には、いちばん読み易いのが残ってるのにね。


皆田:読み聞かせしてあげないといけない。


盛多:昨日、(審査会出席の確認で)副島さんに電話したら、電源が入ってませんって。3回くらい電源が入ってませんって。


副島:申し訳ない、そういう半分ダメな男です。


* 正しくは「優秀賞」でした。



第12回二次審査通過作品

第12回南のシナリオ大賞 二次審査通過作品


二次審査員の寸評(応募順)



言霊のエール


さわやかな物語で好感が持てる。二人の女の子が始め距離感が有りながら長崎のペーロン祭りを介していっきに距離感を詰めていく。青春の応援メッセージになっている。



宣告


リストラ残酷物語と表現すればいいのかな? リストラ宣言をして、社員を辞めさせてる男に、残酷な宣告がある。そこが、ドラマ的になるのかな?



漂流日記


目立たない会社員が先輩の女社員に好きになる。その女社員は自殺してしまう。サスペンス仕立ての物語。展開は面白いのだが、「漂流郵便局」で全てを解決してしまう。その「漂流郵便局」の使い方に、ちょっと問題がある。



化粧破り


テンポよく会話がすすんでいく中、いわくありげな主人公の妻のキャラクターが作品に変化をつけていて、最後まであきのこない展開となった。認知症の老人を主人公にしているが、重くなり過ぎず、それでいてなんともやるせない結末に、人生の重みを感じることができた。



午後四時五十八分の悲劇


巧みに話しを展開しながら、ラストまで一気に引っ張っていく力強さがあった。主人公の日常を覗き見する面白さ、ありえない滑稽さの中に、今の社会の利便性についていけない主人公の老いに哀愁を感じられたところが、余韻となった。



リュウグウノアナタ


あの魚の神秘性を良くここまで使い切ったと思う。あえてカタカナのタイトルも良い。死んだじいさんとのやりとりは、ドラマにし過ぎた見方もあるが、これもありか。船に傷んだ様子はないのにじいさんだけいない云々の神秘性を増す一節を加える辺りもうまい。しかし、あのグロい魚に「リュウグウノツカイ」という名前を付けた人、天才。



ロイ2018


家庭用アンドロイドは、SF的にも使い尽くされた観もあって、逆に使いにくいネタとも思われるが、それでも最後までしっかり読ませてくれる。短いセリフをテンポ良くつないで読みやすいし、飽きさせない展開もうまい。予定調和のストーリーであっても、読み応えのある作品に仕上げる筆力を感じる。ドラマとして聴いてみたい。おそらく筆者は電気羊の夢を見ている。



ほんの15分のこと


漫才か落語のような軽いノリの話しだし、よくありそうな話だが、テンポの良さや話の運び、人物の配置など、簡潔でオーディオドラマをよくわかった作りで面白い。



ボケっと部


話の運びや送りがうまく、よくまとまっていると思う。ただし、台詞やMが長い箇所が多い。先生の秘密も専門的すぎて聞くだけで理解するのは難しいかもしれない。もっと単純ものでよかったのでは。夕陽の訓み、性別ははっきりわかるようにすべき。「腹式呼吸で吐く音?」音だけで表現は困難。



12の言の葉


亡き人からメッセージが届くという展開は定番で、夫の内面の描写などに物足りなさは感じますが、会話に登場人物たちの優しさが表れていて、さわやかな印象が残りました。11しかない妻の音声を使って会話をするシーンをラジオドラマにしたらどうなるかが楽しみになりました。



僕と彼と、とある物


音楽をモチーフとした会話劇が謎解き仕立てになっており、全体的におしゃれで楽しく読めました。場面設定がわからなかったり、中学生にしては人間関係がギスギスしすぎていないかと思うところはありながらも、音楽に絡めて、人間関係のあり方や理想を語るところに好感が持てました。


以上、11編


第12回一次審査通過作品

第12回南のシナリオ大賞 一次審査通過作品


一次審査員の寸評(応募順)



父の足跡を辿って


父親が遺した小説を手に、息子が小説の舞台や人物を探し歩く物語。少しずつ真相に近づいていくという構成は、読者を引き付けるものがある。しかし、場面転換が多いのでラジオというよりテレビ向きの題材に思える。足音や食事をする音は、よほど特徴的なものでない限りSEにはならない。これで場面転換を伝えるのは無理があると思う。ラジオドラマでは、SEもセリフ並に大事な役割を果たすので工夫が欲しいところである。



ブルーナ・アース


今年の異常気象を思わせる緊迫したシーンから始まるので、物語に引き込む力がある。内容は、異常気象が更に悪化した近未来で、防災シェルターを作る人々の話。シェルターに逃げ込んだ人たちが風邪をひいた子どもが入るのを拒否する場面など、現実的な問題として考えさせられる。着眼点が面白いと思う。SEも分かりやすく効果的。ただ、物語の最後で急にSFへと路線が変わる。ここで審査員の意見が分かれるかもしれない。



言霊のエール


長崎のペーロン大会に出場できなかった中学生と、出場する留学生との交流の物語。思春期にありがちな、妬みやひがみからくるイジワル。そんな心の闇と、そこから抜けた瞬間の変化を短時間でよくまとめていると思う。日本語と中国語の言葉をキーワードとして使っているのも効果的だった。



宣告


ラストの大ドンデンに向かってゆくストーリー。ラジオドラマとしてシンプルながらよくまとまっていると思います。



漂流日記


展開はすごく面白く、意外性もあり、構成もマル。ただ、如何せん台詞回しに少々難が…それだけに本当に惜しいです。少々リライトしたら良い物語になる予感。



ポインセチアの贈物


単純でベタでどこかで聞いたことがあるような内容なのだけど、グッときます。まず、文章が上手。無駄がないし。惜しむらくは最後のオチ。AIならではのオチさえあれば、超高得点だったのに…残念。



空と海の間で


ウミガメが上陸する(はずの)鹿児島の小さな町の1日、そこに垣間見える人間模様。凄い展開があるでもなく、驚きのドンデンがあるわけでもないのだが、ほっこりしてしまう。とりあえずラジオドラマとして完成品が聞いてみたい。そう思わせる内容でした。



化粧破り


なかなかシュールな物語。でも面白い。ストーリーもシンプル。ちょっとオチが悲しいけれど…

正義のカステラカステラとちゃんぽんが世界征服を企んで戦う! 突っ込みどころ満載でありながら、楽しい笑いを誘う作品。台詞が利いているのも良い。



けむりの丘


窯の跡継ぎの話。ありがちなストーリー。期待を抱かせるラストシーンは良いと思いました。



ガラッパとやっせんぼのお嬢ちゃん


自殺願望の女と妖怪の話。重そうなテーマでありながら、女と妖怪の台詞のテンポが良く、妖怪の嘘が女を救うことになるのもリズム感のある台詞の掛け合いの中で違和感を感じない。そしてお決まりのハッピーエンドへと続く。



ホモ・サピエンスの道


火星に旅立つ娘と父親の話。台詞はドキュメンタリーのよう。人類の歴史や宇宙に関心のある人には面白く感じられると思います。



ご縁びより


男女三人の恋愛関係のよくあるストーリー。最後、作家の台詞が良い。このセリフを引き立てる工夫をされるとさらにより良い作品になると思いました。



午後四時五十八分の悲劇


何よりも主人公のキャラクターが際立った作品。アナログ世代の主人公が憤り、行動するパワーが何よりも強烈で、一気に最後まで連れていかれてしまった。体当たり的な作品だが、IT一辺倒の今の社会について、一考させられる内容でもある。



小さな十字架


乳がん、若い頃の不倫体験、SNSを通して昔の恋人との再会。40代女性の主人公の姿が痛々しい。しかし、こういう展開になってしまうのは、実際に現代女性の生きづらさ(ジェンダー)が根底にあるのかもしれない。主人公のモノローグや病気の説明が多すぎるのが気になった。



リュウグウノアナタ


愛する人を失っても、想いを消すことなく、たくましく生き抜いてきた主人公の強さと孤独がよく表現されている。主人公が夫を思い続ける気持ちが胸に迫ってくる。深海魚の使い方にも不自然さはなく、神秘的な素材として生かされている。



スリープスタンド


眠れずに悩んでいる人がいれば、眠れないことを利用している人もいる。人間世界の大前提をポツンと考えさせられるよう。マスターのナレーションやセリフ、そしてストーリー自体も陰と陽の対比が絶妙で面白い。こんなスリープスタンドがあったら行ってみたい。



橋に願いを


「コイン落とし」に1982年の大水害。長崎の眼鏡橋というロケーションが最大限に生かされた物語です。謎の少女との出会いと別れを経て主人公の抱えた問題が全て解決するわけではないですが、間違いなく彼は一歩前に進みました。これぞドラマにおける「変化」。作者の確かな技術を感じます。



SWEET TRAIN.迷走中


父と娘が感情をぶつけ合い互いの人生を理解する物語ですが話題の「ななつ星」のような周遊列車の車内という舞台設定が振るっていました。ビュッフェやミニコンサートといった小道具が楽しげな雰囲気を良く醸し出しています。休日の午後に聴きたい小洒落た一品。



ロイ2018


家事ロボットがその有能さゆえに持ち主夫妻の不和を招き、それに気付いた彼は初期化を受け入れて凡庸なロボットになってしまいました。斬新なプロットです。流行のAI(人工知能)ものですがAIの新奇性頼みではなく地に足の着いた人間ドラマが成立しています。今後のAIものの進むべき方向を示しているかも。



坂道、歩いてくれますか


長崎の街の眺望と海風が伝わってくるような爽やかな作品でした。長期入院中のヒロインが意中の人と接近するチャンスを思いがけず得、彼は実際とてもいい人なのですが……彼の優しく美しい励ましの言葉が残酷に突き刺さってきてしまう悲しさ。だけど置かれた場所で戦おうと決意を新たにするヒロイン。彼女の見つめる坂道がその時その時の心情に合わせ色を変えて目に浮かびます。



水面の向う


兄は大学進学を控えているが、幼い頃に自分の不注意で怪我をさせ車椅子生活の弟が気がかりで家を離れることに迷いが生じます。葛藤も変化も小幅で物足りなさはありますが高校生の兄弟がぶつけ合う熱くストレートなセリフが魅力的でした。



ロイヤル仮面


作には主人公の葛藤が明確に描かれている。主人公の時代に逆行する信念や他の登場人物との対立関係など、いくつもの要素が絡み合って次第に主人公の葛藤を浮き彫りにしていく構成にドラマの本質を感じた。



ちゃんぽんガール


ちゃんぽんが大好きな女子高生が主人公のコメディタッチな作品。友達との関係よりもちゃんぽんが大事というキャラ設定は面白いが、話が全体的に麺料理に寄りすぎている気もする。素材と人間ドラマのバランスはもう少し考える必要性を感じる。



ひとはな咲かす


新幹線で主人公の隣に偶然座った男性が高校時代の恩師であることに気付くまでの展開にセンスを感じる。他にも細かい工夫が随所に散りばめられており、読み手を飽きさせない作品に仕上がっている。



ほんの15分のこと


オーディオドラマの魅力、対話が楽しめた。ストーリーの展開にも工夫があり、会話の進展も自然で無理がない。



ピン! ポン!


新婦の結婚スピーチにたつ新郎の元彼女の真意は祝意か、嫉みか。主人公の真意が曖昧。設定と台詞を吟味すれば、スピーチ時の心情にもっと迫れます。



赤、最南の果てに


世界を平和に。希求する元OLが選んだ新しい職場は、巨大ゴキブリがたむろする最前線だった。大義名分と現実のギャップにユニークな視点がひかる。害虫駆除の現場を裏付ける技術や道具、薬剤など具体的な記述がもっとほしい。



ボケっと部


ボケっと部という部活に入ろうとする主人公の決断に共感。



「まほろば」から愛を叫ぶ


死に直面した二分間に人間の本性が出るところが面白い



スイート・ホーム


読後感がいい。



初恋ベーカリー


後半、悲しい過去を忘れさせるようなメロンパンの香りがした。



猫とクリームソーダと17の夏


面白い! デジタルネイチャーな価値観が当たり前になっている未来人たちをテーマにした、切り口がキャッチーなSFストーリー。デジタライズされた未来人が、愛や猫やクリームソーダなど、平凡なものに心を揺らすところは温度感があり、読み終えた時にホッとできる。



力ん限り


最終審査まで残って欲しい作品。高千穂を舞台にした神聖で不思議な空気感が、主人公の人生背景と無理なくリンクしている。物語の世界観が良いだけに、タイトルが勿体無い。例えばよみがえりくらいの洗練されたインパクトがあると、完璧だったかと、、、



結婚相談ならコクコン!


まさかのオチ。今という女性の社会問題をモチーフにした、キャッチーで、残酷で、シュールな作品。賛否が分かれるとは思うが、かなりエッジが効いていて印象的。



あの鐘を鳴らせ


結婚したい娘と再婚したい父親が、同じ婚活パーティに参加して婚活作戦を行う様子が面白い。



誰よりも働かない女


発想の逆転、働き方の面で現代を風刺しているのが小気味よい。



12の言の葉


夫婦の絆とか互いを思いやる心情と、ラストが切ない。



石垣島サンセットホテル本日営業最終日


タイトル通りなのだが、その当日の台風・停電などのアクシデントに屈しない従業員の姿が爽やかである。



三日後、午後三時


パワハラで自殺を決意した男を説得する未来の我が子。切なくて何処か可笑しい世界観を醸し出している。



刑事そば子


そばと刑事と強盗をうまくミックスし、まるで劇画を思わせるようなスピーディーな展開で最後まで飽きさせない。



僕と彼と、とある物語


登場人物の設定がユニーク。セリフの応酬で聞き手を想像の世界へと引き込みオーディオドラマの醍醐味を感じる。


以上、42編




大賞 「言霊のエール」 大杉 誠志郎


大賞 「言霊のエール」 大杉誠志郎 (長崎県)
大賞 「言霊のエール」 大杉誠志郎

受賞者のことば

大杉 誠志郎 (長崎県)


この度は、『言霊のエール』を大賞に選んでくださりありがとうございます。


この作品は、TVで観たニュースがモチーフになっています。今年夏、ロシアで行われたサッカーW杯の日本対コロンビア戦。その試合後に、あるコロンビア人男性が日本人サポータの女性に卑猥な言葉を言わせた上、その映像をネットに拡散したというアノ事件です。女性は男性に教えられたスペイン語で「(私は売春婦だ)」とカメラに向かって言っていたそうな。


映像の笑顔から推し量るに、彼女たちはそれが温もりを帯びた言葉だと信じているようで、また、その言葉を介して男性と心通わせようとしているようでもあり……。


その言葉の本当の意味を知るまで彼女たちがどう過ごしていたのか、つい想像してしまいます。多忙な日常の中、ホッと一息がてら箱から取り出すみたいに「(私は売春婦だ)」を思い返し、癒され、残業を何とかこなすだけの活力に変えてゆく……そのちょっとが経済をちょっと動かし、ちょっと地球を動かしていく……。皮肉にも卑猥な言葉によって動かされてしまったその切ない『ちょっと』を形にしようと思いました。


「言霊のエール」 あらすじ


中学生の理子(15)は、ペーロン大会の出場権を留学生のリ(15)に奪われる。理子はその腹いせに、リに元気の出る言葉と偽って「私は、トンチンカンです」という言葉を教える。その本当の意味も知らず、リはその語感の心地よさに浸る。


ある時、リは体育倉庫に閉じ込められてしまう。猛暑で意識が薄れていく中、リは「トンチンカン」を繰り返し呟き自らを励ました。後でそのことを知った理子は、救急車で運ばれていくリに謝罪する。あれは実は侮辱的な言葉なのだ、と言いかけた時、リから思いがけない言葉が返ってくる。

優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋 祥子


優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋祥子(東京都)
優秀賞 「僕と彼と、とある物語」 土屋祥子

賞者のことば

土屋 祥子 (東京都)


この度は南のシナリオ大賞の優秀賞に選んでいただき、ありがとうございました。とても嬉しいです。


今まで九州には一度しか行ったことがありません。そのときも実は福岡は素通りでした。今回は表彰式にかこつけて、博多ラーメンを食べたり、明太子を食べたり、大宰府天満宮に御朱印をいただきに行ったりしたいと思います。


福岡と素敵なご縁で結んでいただいたことに、心から感謝しています。本当にありがとうございました。




「僕と彼と、とある物語」 あらすじ


ナイーブで傷つきやすい探偵は、仕事をする気を失っていた。ピアノのドレミファソラシドは完璧な調和をつくることがどうしてもできず、歪みをすべての音に振り分けて作られたと語る。


助手は、ピアノをめぐって中学生時代に起こった、ささいな事件の話をする。三人の男女が起こす、恋と友情と嫉妬の物語だったが、探偵は、その物語に全く違う側面もあると語り、それは卑劣な男と計算高い二人の女の物語だと言う。


ドレミファソラシドと同じように、人は歪みを少なからずもって生まれてきて、完璧に美しい世界を作り出すことはどうやってもできない、と話す探偵。助手は、歪みをもった音からでも美しいメロディがうまれることもある、と話し、やっぱりそれは恋と友情の美しい物語であったのではないかと言う。助手の弾く美しいピアノのメロディを聴き、少しだけ やる気を取り戻す探偵であった。


優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」 山下 蛙太郎



優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎さん
優秀賞 「午後四時五十八分の悲劇」山下 蛙太郎

受賞者のことば

山下 蛙太郎 (福岡県)


登録がない電話番号からの着信でしたので、出るか出ないか、迷った末に出ますと、相手の方が名乗られたお名前を聞いて、いきなり勘違いしてしまい。「ああああーっ」小学校時代の同級生だった友達の名前を叫びながら「タツノスケ君!いやあああああ。久しぶりやね。元気にしとった?」と問いかけてしまいました。


もう何十年も会っとらん。どこで電話番号わかったんやろう。なんかあったとかいな。怪訝に思っていると、それ以上に相手の方も大いに怪訝に思っていたのです。


「タツノスケって誰?」


それは受賞を知らせてくれた日本放送作家協会九州支部の先生からの電話だったのです。スマホを手にしたまま、シドロモドロになってお礼の言葉を伝えました。受賞は予期していなかったので、とてもうれしかったのですが、その日から時間がたつにつれて、先生に「タツノスケ君」と、力いっぱいでかい声で呼びかけてしまったことが、とても恥ずかしい今日このごろです。


「午後四時五十八分の悲劇」 あらすじ


妻の旅行中。勘一が新品のパソコンを使っていると、「ウイルスに感染」と警告が出て動かなくなる。午後4時58分、勘一は、携帯電話で購入先のカスタマーセンターに連絡をするが「回線混雑のためお掛け直しください」との案内が流れ切れる。掛け直すと今度は「営業時間が終了した」と切れる。勘一は、翌日朝から、電話するが、混雑で繋がらず、夕方にやっと繋がったものの今度は携帯の電源が切れる。固定電話を解約していたため、公園の公衆電話に向かう。到着は午後4時58分。焦る寛一は、小銭を落とし、拾って立ち上がる際に頭部を強打して流血しながら電話するが、無情にも「営業時間終了」のメッセージ。激怒した勘一が、受話器を叩きつけていると、巡視中の警官に咎められる。勘一は、警官を突き倒して帰宅。玄関先で倒れる。旅行から戻っていた妻から「誰にやられたのか」と問われ「ウイルスにやられた」と答えるのだった。

総評


今回で12回を数える南のシナリオ大賞。丁度200通の応募でした。誠にありがとうございました。


5月頃に雑誌、ホームページに募集の告知を出して、皆様のシナリオが届くのを待っています。告知を出した後、ふと、不安感に襲われることがあります。もしも……もしも……一通も応募なかったらどうしょう? そんな不安感です。そして、同時にそんなことはないと打ち消します。締め切りの8月末になると、どっとシナリオが届きます。皆さん、忘れてなかったんだと。ほっとした気分になります。


その後、放送作家九州支部会員を総動員して、1次審査、2次審査、最終審査へと進み、大賞、優秀賞を選んで行きます。


今回は、大賞に大杉誠志郎さん作「言霊のエール」。優秀賞に土屋祥子さん作「僕と彼と、とある物語」。山下蛙太郎さん作「午後4時58分の悲劇」。の3作が選ばれました。


大賞の「言霊のエール」は、長崎のペーロン大会を舞台とした中学生と中国からの留学生の友情物語です。読んだ後にさわやかな感覚が残りました。優秀賞の「僕と彼と、とある物語」は、登場人物は2人だけ。ピアノをめぐっての恋と友情の物語。独特のセリフ回しが最後まで引き付けます。もう一つの優秀賞「「午後四時五十八分の悲劇」。日常で起こる、クレーム対応。人が電話口にでるまでの時間が掛かります。その状況をおもしろおかしく描いています。この3作は、どれが大賞でもおかしくない作品です。


では、来年もたくさんの作品や、別世界に連れていってくれる作品に出会えることを願ってやみません。


日本放送作家協会九州支部

審査委員 盛多直隆


第12回 南のシナリオ大賞 表彰式

  • 日時:11月24日(日)15:00~16:40

  • 場所:アクロス福岡(福岡市中央区天神)


第12回南のシナリオ大賞 表彰式 記念撮影
第12回南のシナリオ大賞 表彰式

1件のコメント


不明なメンバー
2025年7月11日

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